「“みんな”で一緒に考える」を
実現しよう。

LAQDAプロジェクトが始まったのは、2019年。まだ当時はコロナ禍ではありませんでした。2017年にロレアルハッカソンで優勝をしたことから、ものづくりに興味を持ったわたしは、IoTの技術が女性しか使わないものの生活物品にはあまり取り入れられていないと感じ、さまざまな日用品を考えていました。

その中には、調味料の残量を把握し発注するものや、家の収納扉にセンサーをつけて使わないものを可視化し、不要なものの処分に役立てるものなど、さまざまにありました。生理用品のIoT BOXはその際に発案した1つのアイデアです。

そんな折、ある会社で新規事業コンペがあることを知り、「生理用品は人口の半分が使うものだしマーケットが大きい!」と思ったわたしは、生理用品のIoT BOX+サブスクでエントリーします。結果は1次選考通過。

その後は、生理用品が医薬部外品でかなり取り扱いが難しく、当初思い描いていたプランはできずに落選。しかし、ニーズをさぐるために実施した実証実験でのアンケート結果では、「生理用品を持っていない状態で生理になり困った経験がある人」は95%。フリーアンサーで寄せられたコメントもすさまじいものがありました。

同じような問題は海外でも抱えていると思い海外事例を調べると、生理用品の設置は有償でも無償でもかなり昔から実施されており、オフィス管理者が女性であろうと男性であろうと、生理のときに生理用品の設置がないと施設の環境で過ごすことが大変だという認識があることがわかりました。

さらに調査を進めると、
・生理がある人にとっては、自分達のために何かしてほしいということは言いづらく、
・生理がない人にとっては、そもそも困っているという声をあげてもらえないので、把握のしようがない、
ということがわかってきました。

そこで、この問題はIoTが解決する技術の問題ではなく、コミュニケーションの問題だと思いました。

コミュニケーションの問題だと気づいてから、わたしの考えもだいぶ変わってきました。今までは、「困っていても言えないなら仕方がない」と思っていました。でも、「言えない」人をそのままにしておくことはとても罪なことだと思いました。「困っている」のには理由があり、「言えない」のにも理由があるからです。

そのため、まずは「言えない」人のメッセージを生理有無に関わらず伝えていく活動をしました。その過程で気づいたのは、「生理の経験がない人も傷ついている」ということでした。

生理に関わらず、体調がよくないときには自分に余裕がなくなる人は多いのではないでしょうか。気にしないように意識しても、知らず知らずのうちに、体力的にも精神的にも下がっていると思います。

しかし、なぜ大変なのかがわからない周りの人にとっては、「何か今日はいつもと違う」とか「なぜ冷たくされたんだろう」と思うこともあります。ひとつひとつは些細なことであっても、「あれ?」が積み重なります。

誰かに対し、「もしかして体調がよくなくて、今日は本調子じゃないのかも?」そう思うことは、本人の気持ちを楽にさせてくれるはずです。何か冷たく当たられると、「何かしたっけ?」と思う人も多いと思いますが、「自分が悪いのではないのかも、調子が悪いのかも」と思う想像の幅をつくることにつながります。これは生理だけではなく、女性更年期や男性更年期などホルモンに影響されること全般に言えるはずです。

とはいえ、知識ばかりがついても、具体的に何が大変でどういうことがあるのか、を理解することは難しいということも活動の中で感じてきました。そのため、LAQDAプロジェクトではまず生理にフォーカスして、どういうことが考えられるんだろう?という対話を経験し、それぞれの生活に持ち帰っていただけるようにワークショップを企画しています。

他者への想像力を持ち、誰かが大変だと気付けることは、気づいた本人の人生も豊かにしてくれます。日本にはよいことばがあります。「情けは人の為ならず」情けを人にかけているようで、自分に一番かかることをお忘れなく。

是非、生理用品の設置をオフィスの皆さんと考えることで、ひとりひとりがより豊かな人生になりますように。

*LAQDAプロジェクト*